福岡から南魚沼へ。第三子を妊娠中でありながら物件を購入し、会社員として働きながら民泊事業を立ち上げた髙野愛理さん。地域全体の経済力を底上げする仕組みづくりに挑戦しています。

髙野さんは、南魚沼市が実施する「チャレンジ支援事業補助金」において採択された起業家のひとりです。

本制度は、市内で新たなビジネスにチャレンジする個人・法人を対象に、概念実証(POC)や市場調査などにかかる費用を補助し、地域の新産業創出を後押しするものです。

本事業の運営を担う一般社団法人南魚沼市まちづくり推進機構(まち推)では、採択者への情報提供や広報を通じ、地域に根ざした起業の輪を広げています。


【プロフィール】髙野愛理さん(WACWAC代表)

福岡県出身、南魚沼市在住。福岡教育大学を卒業後、不動産業界、人材業界で営業を経験。長女の出産を機に、2021年に夫の実家がある南魚沼市(旧塩沢町)へ移住。現在は2児の母で第三子を妊娠中。「幸せに生きること」をゴールとして、周りが幸せになることで自分も幸せになるという信念のもと、誰でも再現性のある資産形成手段として民泊スクール「WACWAC」を開始。会社員として働きながら事業をスタートし、2025年にチャレンジ支援事業補助金の採択を受けました。2025年11月には、1棟目となる民泊施設のオープンを予定しています。


教師志望だった私が、なぜ起業家に?

もともと教育学部出身で、教師になろうと思っていた髙野さん。商売やビジネスのことは全く考えていなかったんだとか。

「実は『起業しよう』という感覚は全くありませんでした。20代前半で起業される方は、夢と希望に溢れていると思いますが、私は起業しようが会社員だろうが何でもよく、お金を稼ぐ手段の一つという考えでした

転機となったのは、子どもが生まれたこと。この子たちが不幸になってしまう可能性がある要素をすべて取り除きたいと思い、そのとき一番頭に浮かんだのが『お金の不安』でした」

「自分だけ幸せ」では幸せになれない

髙野さんの考え方の根底にあるのは、「周りも幸せでないと自分も幸せではない」という信念です。

「お金がないから子どもは産めないとか、お金の不安からたくさんの時間働いて、子どもとの時間が作れないとか、私もまさに感じているのですが、そういうことって今の社会で往々にしてあるんです。私が考える「幸せ」において、人間関係ってめちゃくちゃ大事なので、周りの人も一緒に底上げする必要があると考えています」

義父母の宿泊業から学んだ「再現性の高さ」

南魚沼への移住後、義父母が営む石打スキーセンターでの暮らしを通じて、髙野さんは宿泊業というビジネスの可能性に気づきました。

「主人の実家で宿泊業を営む義父母の姿を見て、宿泊業には大きな可能性があると感じました。IT系の企業で収益を上げるには特別なスキルが必要ですが、宿泊業は再現性が高いんです。手元にお金がない人でも、不動産という土地の価値を担保に融資を受けられる。これは非常に優れた仕組みだと思いました」

「誰でも再現性があってお金を稼いでいくことができるツール、それが不動産でした。だからこそ自分だけでなく地域のみんなでやりたいと考え、南魚沼を中心に民泊スクール「WACWAC」を立ち上げました。地域のみんなの経済力を底上げして、お金の不安なく子どもを産める社会を作りたい。そのために、みんなで学べるコンテンツを提供しています」

10年間の会社員経験が武器になった

髙野さんはいい意味で非常に負けず嫌いな性格で、結果が出るようにひたすら取り組んでこられました。その積み重ねが、今の起業家としての土台になっています。

「会社員時代にがむしゃらにやってきた経験はむちゃくちゃ役立ってます。インターネットで集客する方法とか、宿泊業界で当たり前に使われてる予約サイトのことや広告料の相場とか、手段を持ってることで全然戦い方が違ってくるんですよ。」

「新卒のときに戻れたとしたら、やりたい分野の会社に入って3年ガッツリ本気で死ぬほど働いて起業するのが正解かなとは思うんですけど、その成果にたどり着ける人なんて多分ね、なかなかいないと思いますよ」

30代でこれから起業しようっていう人も全然遅くないなんて思わなくていい、と背中を押してくれました。

妊娠中に物件購入——「やる気は普通の人の10倍」

伴走支援をしている中で、髙野さんの行動力が並外れていると思うことが多々あります。実は今、第三子を妊娠中。妊娠中に物件を購入し、妊婦でありながら正社員として仕事も続けています。

「時間的余裕は普通の人よりもないと思いますが、それでも私にできているので、誰でもできるのではないかと考えてきました。ただ、最近『相当努力しないと無理なんでしょ』と指摘され、確かにそうだと気づきました。私のやる気は、おそらく普通の人の10倍くらい標準装備されているのだと思います(笑)」

「ただ、やったほうがいいけどなかなか行動に移せない人って、私と同じほど解像度高く、今より良い未来が見えてないだけっていうのもあると思ってて。大体これくらいの時間でこれくらいの民泊ができてこれくらい儲かってますよ。ということが示せれば、今踏みとどまっている多くの人も取り組めるようになるんだと思います。」

「民泊を南魚沼の武器に」する挑戦

現在、WACWACでは「民泊や宿泊業をやりたい」と相談された際に、その人の状況に合わせてアドバイスできるコンテンツを作っています。

「コンテンツを作ることが目的ではなく、会員になってくれた人が幸せになること、そして地域のみんなの経済力を底上げすることが目的です。民泊というツールは、南魚沼の武器になると考えています。観光資源が豊富で、スキー場もあり、温泉もある。この地域特性を活かした民泊は、誰でも取り組める資産形成の手段になります。今の押しは民泊ですが、『民泊』に限らず、時代の変化とともに『地域の人が資本家になれるようなビジネス』を嗅覚高くサーチしていきたいと思っています」

今後は個人向けだけでなく、法人向けのメニューも検討しているとのこと。

 

2025年11月、1棟目オープンへ

2025年11月に1棟目の民泊をオープンします。その後は物件を増やし、WACWACの会員も増やしていく計画です。また、オーナーを増やすビジネスも考えています。

さらにその先に目指すのは、雇用の創出です。「自社が利益を上げれば、社員を雇用する余力が生まれます。雇用する際には、一緒に働いてくれるメンバーが幸せになる方法を真剣に考え、みんなで高めあっていける職場を作りたいと考えています」

民泊は事務作業も多く、フルリモートで働ける環境を提供することも可能。「『こうすればお客様の満足度が上がる』と考えてアクションを起こし、単価をアップさせるような、頭を使う仕事を提供できれば、そこにも価値があると思っています」

5年目でようやくここまで来た

ここまで来るのに、南魚沼に移住して自分でやろうと決めてから、今年で5年目

「5年目でようやくここまで来ました。決して簡単な話ではありません

それでも、髙野さんは前を向いています。「起業」という言葉にとらわれず、自分ができることで価値を提供する。ネイルが得意なら苦手な人にネイルをしてあげる、料理が得意なら料理を作ってあげる。「材料費は500円だけど、私も続けたいから1,000円でお願いします」そんなスタンスで始めればいい。

「もし一歩を踏み出せないなら、すでに踏み出している人のところに集まれば良いのです。私のところに声をかけてもらっても構いません」と背中を押す言葉をいただきました。


南魚沼市の起業家支援

南魚沼市では、市内で新たなビジネスに挑戦する方を対象に、「チャレンジ支援事業補助金(最大100万円)」やビジネスコンテストなどを通じて、地域に根ざした起業家を応援しています。

本制度は、構想段階の事業や起業後間もない事業を対象に、社会実装に向けた調査研究・実証実験(POC)・マーケティング活動などにかかる費用を補助するものです。

採択者は、南魚沼市の地域資源を活かした新しいビジネスづくりに取り組みます。

これらの支援事業は、一般社団法人南魚沼市まちづくり推進機構(まち推)が運営を担い、

市と連携して制度設計や広報、採択後のサポート体制づくりを進めています。

また、起業家の実装フェーズでは、Socialups株式会社などの専門パートナーと連携し、

事業計画のブラッシュアップやマーケティング支援、ネットワーク構築などの伴走支援を実施しています。

起業家同士の交流拠点であるMUSUBI-BA(ムスビバ)では、イベントやセミナーを通じて支援金採択者や地域のチャレンジャーが交わり、事業の実践やアイデア発掘につながる機会を提供しています。

来年度も、市内で新たな挑戦を志す方を対象に、同補助金をはじめとした支援メニューを継続実施予定です。

南魚沼から新しいビジネスを生み出す仲間を、引き続きサポートしていきます。

関連

南魚沼市 チャレンジ支援事業補助金(公式サイト)

事業者ウェブサイト https://m-plan.work/2025/04/08/wac-wac/

                 

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