牧之通りは江戸時代の文人、鈴木牧之にちなんで名付けられた歴史のある街道。
南魚沼市塩沢町はかつて三国街道と清水街道が交差する交通の要所として栄えた宿場町で、現在もその風情を残しています。
通り沿いには、江戸時代の宿場町の風景を再現した建物が並び、雁木(がんぎ)と呼ばれる雪国特有のアーケードが整備されています。
古き良き時代の面影を残しながらも、新しい店舗が次々とオープンし、常に活気に溢れています。
そんな牧之通りに2024年7月に産声をあげた『牧之通りのラーメン屋』。
昨年、惜しまれながら閉店した「さかいや」の空き店舗に新規OPENしました。
魚沼市出身の若き店主、高野のぞみさんに人気のメニューやOPENするまでの経緯をじっくり伺いました。
25歳、女性店主の駆ける想い
実家が割烹を経営していることもあり、幼い頃から料理が身近な環境にあったという高野さん。
高校生のころは地元のラーメン屋でアルバイトで汗を流し、卒業後もそのままラーメンの世界に飛び込んだそうです。
そんなときに出会ったのが師匠とも言える存在の南魚沼市の名店「ラーメンゆきがや」の星野オーナー。
以前勤めていた十日町のラーメン店が閉店してしまったタイミングで、星野オーナーから声をかけてもらったことを機に「牧之通りのラーメン屋」の店長になることを決意しました。
実家が飲食店で働くことも多かった高野さんは、お客さんが帰る時の表情で「満足したのか、そうじゃなかったかわかる」とのこと。
店長になった緊張感が自分のラーメン愛に火をつけてくれた、と語ってくれました。
名店「ラーメンゆきがや」プロデュース
牧之通りのラーメン屋で提供しているラーメンの土台は星野オーナーがつくってくれたとのこと。
スープは濁りが出ないギリギリの温度と時間でじっくりと炊き出し、麺はアレルギーがある人でも食べれるように卵は不使用というこだわり。
「星野さんがつくってくれた味にブレが出ないように目を光らせるのが私の仕事です。いつかは師匠の味を超えるラーメンをつくってみたい」
と意気込む高野さん。
丼を覆い尽くすチャーシュー
そんな牧之通りのラーメン屋のおすすめは「醤油ラーメン」。
特徴は丼の半分以上が隠れるほどの大きなチャーシュー。
肉の下処理から味付けまで6時間もの時間をかけてつくるとのこと。
それに負けないくらいインパクトがあるスープは、どこまでも透き通っているのにもかかわらず、どっしりとした味わいがあり一口で虜になりました。
こだわりの中太麺ともしっかりとからんで、毎日でもおいしく食べられる一杯に仕上がっています。
OPEN直後は醤油ラーメンの提供だけでしたが、新メニューとして「とんこつラーメン」もスタート。
こちらも星野オーナーに監修してもらい作り上げた一杯。
実家みたいなラーメン屋
「ラーメン屋だとどうしても食べたらすぐに帰らなきゃいけないって思われがちですけど、ウチはもっとお客さんと会話をしたりコミュニケーションをとっていきたいんです。実家に帰ってきたような安心感を感じられる雰囲気を理想にしています。まぁでも忙しいときはどうしても余裕がなくなっちゃうんですけど笑」
回転重視のラーメン屋の在り方を覆すような発言に驚かされました。
「ラーメンを通して街を盛り上げたい」
と語ってくれた高野さんの目の奥の炎がメラメラと燃えているのがわかりました。
カウンター、テーブル、座敷もあって老若男女が落ち着いて楽しめる店内で、若さ溢れる一杯を味わってみてはいかがでしょう。
牧之通りのラーメン屋 店舗情報
<所在地>
〒949-6408 新潟県南魚沼市塩沢1210-1
<営業時間>
11:00〜15:00
<定休日>
火曜